滲出性中耳炎

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待合室に、当院制作の”滲出性中耳炎ガイドブック”を置いております。ぜひご覧ください


<耳鼻科で治療する代表的な耳の病気について解説しています>

滲出性中耳炎とは?

中耳に浸出液が貯留しつづける、痛みのないおとなしい中耳炎です。小さなお子さんによくみられる病気です。また御年寄りにも比較的よくみられます。


滲出性中耳炎の症状は?

痛みなどの症状がなく気づきにくいこともありますが、聞こえがすこし悪くなっていて、お子さんの言葉や集中力、学習の発達に影響することもあり注意が必要です。このため当院では、耳の症状がないお子さんでも、原則すべての方で耳の診察を行い状態を確認しています。

滲出性中耳炎の治療は?

耳の状態を観察し、場合によっては聴力検査などもおこなって状態を把握し、内服薬や鼻の掃除、通気などの治療で経過をみていきます。すぐに治る方もいますが、症状が数か月から1年以上続いてなかなか治りにくいこともある病気です。
治りにくい場合は、すぐに完全に治すことを目指すよりは、生活に支障のないように、また重症にならないように様子をみていく方針で通院していただく場合もあります。経過が長くかかることがあるという意味ではなかなかやっかいな病気とも言えます。

また保存的治療で改善のない場合、鼓膜切開をして浸出液を清掃することもあります。(専用の麻酔器を使って麻酔をしたうえで切開をおこないますので痛みはありません)

特に重症の場合、提携病院を紹介し鼓膜にチューブを留置する手術をして治療することがあります。ただしチューブ留置の手術をした場合、プールに潜るのを控えなければならないなどの制限が生じ、またチューブ抜去後の鼓膜穿孔などの合併症もあり、手術適応を当院ではかなり慎重に考えています。(術後のトラブル症例をこれまで多く見ていますし、統計などに出ている数字よりも実際の合併症の割合はもっと多いと思います)
滲出性中耳炎に関しては、医師によっても治療に対する考え方や方針が異なる場合が時にあるでしょう。
専門医により、きちんと診断、治療、フォローしていくことが重要です。

◆滲出性中耳炎の鼓膜(左)/ チューブを留置した鼓膜(右)


◆小児滲出性中耳炎診療ガイドラインより (編集:日本耳科学会 日本小児耳鼻咽喉科学会)
ガイドラインを参考に、個々の状態に応じた治療を検討しています。(ガイドラインはあくまでも参考です。チューブ留置には合併症の可能性もあり、きめ細かく個々の状況を勘案して治療を考えるのが大事だと考えています。)

当院での耳の診察の特徴

当院では、耳の診察を最新式のPENTAX社スコープを用いておこない、精密で正確な診察と記録を心掛けています。また鼓膜の状態を大型モニターに映し、”見て納得していただける”診察と治療を目指しています。